こんにちは。米農家に生まれ育ち、白ごはん大好き!な管理栄養士、shiro mama(シロママ)です。
わたしと同じお米好きには悲報である、昨今、耳にする「お米不足」と「お米の価格高騰」の言葉。将来、大好きな白ごはんが食べられなくなってしまう日が来るのでは…と不安に駆られる毎日です。
では、近年のお米不足はどのようにして起こっているのでしょうか?いったい不安が解消される日はくるのか…?
この記事では、お米不足の現状と原因、解消される日は、一体いつ来るのかについてお米に関する知識を紹介します。
この記事はこんな人におすすめ!
- お米不足と価格高騰の原因を知りたい方
- 備蓄米放出で解消されるのか気になる方
- お米に関する知識を学びたい方
2025年:お米不足の現状
ニュースでも目にするように、近年お米不足の傾向が顕著になっています。
2023年、記録的な猛暑と水不足の影響もあり、お米の品質が低下しました。
これにより、2024年夏、お米の流通量が大きく落ち込んだことで「令和の米騒動」が発生し、スーパーでの欠品や転売価格の高騰が話題になりました。
2025年に入っても、外食産業の回復やインバウンド消費の増加により、お米の需要が拡大、お米不足や価格高騰が続いています。

実際に2025年2月上旬、何件かのスーパーで、お米の在庫品薄や在庫がなく「今週のお米の入荷はありません。」と張り紙が貼られているお店を目の当たりにしました。
お米不足と価格高騰の原因
近年、問題となっている2024年から2025年にかけての「令和の米騒動」と呼ばれるお米不足と価格高騰の主な原因を紹介します。
①気候変動の影響
2023年の記録的猛暑と水不足により、収穫量の減少、お米の品質低下、精米歩留りも悪化しました。
②需要の増加
コロナウイルス感染症による外出自粛義務がなくなり、外食産業の回復とインバウンド消費の急増により、お米の需要が拡大しました。
③需要供給バランスの崩れ
お米の需要減少の措置として、長年の減反政策で生産量が制限されたことも影響しています。この影響もあり、コメの生産量は減少傾向が続いています。
④南海トラフ地震への不安
2024年8月の臨時情報発令により、消費者のお米の買いだめが発生しました。
⑤メディア報道の影響
品薄状況の報道が消費者の不安を煽り、さらなる需要増加を招きました。
⑥物価高
昨今の物価高により、お米の生産に必要な原料も高くなっており、お米の生産コストが上がっています。

実際に、実家のお米も記録的な猛暑の影響を受け、一部で品質の低下が目立ちました。
コロナが明け、我が家もお出かけする機会が増え、家計的にも外食割合が高くなっています。東京では、外国人旅行者を至る所で見るようになり、外食産業の回復とインバウンド需要を実感しています。
お米不足に備える制度:備蓄米
お米不足が起こった時はどのような対応が取られるのでしょうか?
お米が不足した大凶作時に、消費者へ安定して米を供給する役割として「備蓄米」という制度があります。
政府としては、以前から、国民の主食であるお米について、不作の時でも国民が安定的に
食べられるようにしていたところですが、1993年にはお米が大凶作(だいきょうさく)
となり、消費者の方々がお米を求めてスーパーに殺到(さっとう)しました。この経験を踏まえ、いつでもお米を供給できるよう、
1995年からは、法律により、国によるお米の備蓄を制度化しました。現在は、100万トン(10年に一度の不作にも供給できる量)を備蓄しています。
農林水産省:備蓄米制度(びちくまいせいど)
備蓄米は、「備蓄米制度」を正式名称としています。
また、震災発生後に、被災地から応急食料としての精米の供給要請としての利用や震災時の一時的な米の品薄状態への対応としての役割もあります。
政府は毎年20万トン超を購入し、5年間で約100万トンを維持する回転備蓄方式を採用しています。これにより、安定供給と価格調整を担っています。
2025年1月には、農水省の「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」を見直し、放出できる条件として「主食用米の円滑な流通に支障が生じる場合であって、農林水産大臣が必要と認めるとき」を新たに加えました。大凶作以外でも備蓄米を放出できる制度変更が発表されました。
これにより、流通量の確保と価格高騰の抑制が期待されています。
(出典:米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針)
備蓄米の放出歴
備蓄米は今までどのようなタイミングで使用されてきたのでしょうか。過去の放出歴を見ていきましょう。
不作による使用はありませんが、2011年の東日本大震災の際に被災地の応急食料として使用され、2016年の熊本地震で放出されました。
また、最近では2025年2月に、米の価格高騰を受けて政府が備蓄米の放出を決定しました。
農林水産省は約21万トンの備蓄米を放出する方針を固めました。この放出は、従来の不作や災害時に限定した方針を転換し、流通の停滞に対応するために行われることになりました。
この備蓄米の放出は異例の措置であり、お米の価格安定化と国民生活への影響を考慮して実施されています。
お米不足において私たちにできること
近年のお米不足において私たちにできることはあるのでしょうか?家庭でできる取り組みを紹介します。
❶適切な保管方法の実践
お米を無駄にしないために密閉容器に入れ、低温(理想保管温度は15度以下)で保管し、多湿は避け虫害を防ぎましょう。
❷適量の備蓄
買い占めはせず、ご家庭や家族の食事量に合ったお米を備蓄することを心がけましょう。
❸お米不足や高騰についての理解
お米の品薄状況を踏まえ、お米不足の背景をしっかり理解し、販売価格の値上げに対する原因と理解を深めましょう。
❹多様な米品種の消費
農家の多品種栽培による安定生産を支援するため、様々な品種のお米を購入・消費することを心がけましょう。

実際に我が家は、お米の保管方法を見直し、食事の適正量のお米を備蓄するように見直しました。
お米不足・価格高騰の解消は一体いつ?
2025年2月に政府が備蓄米の放出を決めたことから、3月から4月の放出に向け、徐々に緩和されることが期待されます。
しかし、一時的な解消に繋がる可能性が高いですが、備蓄米は根本的な解消にはなりません。
お米不足は、先述で記載したように気候変動の影響や需要供給のバランスなどの原因もあり、価格高騰も様々な原材料の物価高から完全解消は難しく、これからも将来的に続くと考えられます…
まとめ
昨今のお米不足は、2024年夏「令和の米騒動」の発生と、2025年に入っても外食産業の回復やインバウンド消費の増加により、お米の需要拡大が要因です。
備蓄米は、不作時や災害時に国民に安定的にお米を供給するための制度です。2025年1月には新たな制度変更により、通常時でも流通停滞への対応が可能となりました。2025年2月の備蓄米放出決定により価格の高騰が抑制され、消費者の負担軽減が期待されています。
しかし、一時的な解消に繋がる可能性が高いですが、備蓄米放出は根本的な解消にはなりません。さまざまな原因が複合的に絡み合っていることから完全解消は難しく、これからも将来的に続くと考えられます。
私たちも、一人ひとりが適量備蓄やお米不足への理解を深めることで、お米不足対策の貢献につながります。
日本人の主食であるお米の安定供給と未来のために、今できることを少しずつ実践していけるといいですね。
コメント